有名になりたいために犯罪を起こしたヘロストラトス

今の世の中たまに動機不明な事件が起きたり犯人が出頭してくることもあるでしょう。こうしたことは昔からもどうやらあったようです。

 

ヘロストラトス(Herostratus, 古代ギリシア語: Ἡρόστρατος)は古代ギリシアイオニアの人物で、若い羊飼いである。有名になりたいという野心から、紀元前356年7月20日頃、エフェソス(現在のトルコ領)にあった高名な神殿・アルテミス神殿に放火したことで知られる。

アルテミス神殿は紀元前550年頃、リディア王クロイソスの出資で、クレタの建築家ケルシプロンとその息子メタゲネスによって建てられた大理石の神殿である。狩猟と野獣と出産の女神アルテミスに捧げられたアルテミス神殿はギリシア各地にあったがその中でも最も美しいとされていた。しかしヘロストラトスの放火により神殿は火災で倒壊した。

捕まったヘロストラトスは放火の責任を逃れるどころか堂々と犯人であることを認め、「自分の名を不滅のものとして歴史に残すため、最も美しい神殿に火を放った」と述べた。エフェソス市民たちは、名声を求める人間が同じような蛮行を再度起こすことを防ぐために、ヘロストラトスに死刑を宣告したのみならず、この先ヘロストラトスの名を口にした者も死刑にして彼の名を歴史から抹殺することを決めた(記録抹殺刑)。

 

しかし、キケロプルタルコスなどがこうしたことを残したことでヘロストラトスの名前が残ってしまい願いが叶ってしまいました。こうしたことから「ヘロストラトスの名声」(Herostratic fame)という言い回しがあり、「どんな犠牲を払ってでも有名になる」ことを指すという言葉も生まれてしまいました。