中国企業、ドイツの世界有数のロボットメーカーを買収提案へ

広州=中村裕】中国家電大手の美的集団(広東省)は18日、産業用ロボット大手の独クーカに対し、買収提案すると発表した。すでにクーカ株の13.5%を保有するが、今回は株式の大半を取得して経営権を握る計画で、
1株当たり115ユーロ(約1万4000円)、最大で総額40億ユーロ(約4900億円)を提示する。最低でも30%超の株式取得を目指す。

 クーカは同日、「美的からの提案を注意深く評価する」との声明を出し、取締役会や監査役会で協議したうえで結論を出す方針だ。美的は昨年8月、独クーカの株式の5.4%を取得し、今年2月には同10.2%に引き上げるなど、株式の買い増しを急いでいた。

 独クーカは1898年設立の老舗で、自動車向けの産業用ロボットを主力とする。ファナックやスイスのABBと並ぶ世界有数のロボットメーカーとして知られる。ファクトリーオートメーション(FA)大手でもあり、現在、ドイツ主導で進む製造業の高度なネットワーク化を進める戦略「インダストリー4.0」でも主導的な立場を取る。2015年の売上高は29億6600万ユーロだった。

 エアコンを中心に総合家電メーカーとして成長してきた美的は中国の家電市場の成熟化に伴い戦略が手詰まりになっている。従来型の家電製品の大量生産からの脱却を狙ってロボット技術などに強いクーカを買収、量から質を重視した経営の転換を急ぎたい考えだ。

 美的は昨夏には日本のロボット大手の安川電機と提携し、ロボット事業への参入を決めた。今年3月末には、経営が悪化した東芝の白物家電事業を買収することでも最終合意している。
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